帝王切開時の抗生剤投与のタイミング3

帝王切開時の抗生剤投与のタイミング2

MLで提示されていた文献に病院からアクセスできず帰宅してからアクセスしてみました。
新潟県六日町病院のHP、すごいです!!!
市川先生おひとりで訳されたのでしょうか。尊敬します・・・
WHO2009年10月「安全な手術のためのガイドライン」
WHO Guidelines for Safe Surgery 2009
(日本語版)英語版はこちら。
帝王切開の予防に関する部分、引用させていただきます。
帝王切開のための予防: 帝王切開(最も一般に施行される手術の一つ)は、術後感染症の重大なリスクがあります。感染性合併症は、このような患者の7~20%と見積もられています(258)。Griffiths らは、症例対象研究で全体の手術部位感染頻度は9.9%を報告しています(259)。コクランレビューが、予定と予定でない帝王切開の両方での予防的抗菌薬の推奨が、創感染で2/3に、子宮内膜炎で3/4に減少したことで正当化されたと結論付けました。第一世代セファロスポリンが最も一般的に使用された薬剤です。予防的抗菌薬投与の適切なタイミングについての議論は続いています。新生児が抗菌薬にさらされることと新生児敗血症における影響についての懸念が、臍帯がクランプされるまで抗菌薬投与を遅らせるとしてきました ― WHOの妊娠と分娩における合併症の管理ガイドラインは、臍帯がクランプされ切断された後に予防的抗菌薬を一回投与することを推奨しました(261)。Thigpen らは、最近の無作為化臨床試験で、抗菌薬が皮膚切開か臍帯クランプの前に投与されるかに関わらず、新生児敗血症と集中治療室への入室も含め、母体感染性合併症に違いはなかったことを見いだしています(262)。Sullivan らは、皮膚切開前の抗菌薬投与は、臍帯クランプ時の投与と比較した時、感染性合併症が低かったと報告しています(258)。最後に、皮膚切開前の予防的抗菌薬投与における方針の変更は、帝王切開後感染症の重要な低下に繋がっています(263)。研究されたあらゆる他の手術での皮膚切開前の投与で、予防は最も効果的であり、最近のメタ分析は、出生時の抗菌薬へのこの短時間の小児への接触が有害であるという明らかなエビデンスを示していません(264)。皮膚切開前一時間以内の予防的抗菌薬投与は、臍帯がクランプされるまで待つより、効果的である可能性があります。米国産科婦人科学会が予防のために抗菌薬投与を勧め、王立産科婦人科学会は予防的に抗菌薬を提案することを推奨していますが、どちらもタイミングに関しての決定的な推奨はしていません(269)。明らかに、この問題には論争があり、どちらの実施もプラセボよりは帝王切開後感染の予防に受け入れ可能で、効果的があります(267)。


太字はるなが入れさせていただきました。
感染予防の観点からは皮膚切開前の投与がよさそうですね。
でも結論がでていない・・・

世界中のどの施設でも「いつもやってる方法を変える」ってことは大変なのかもしれません。
by runa123 | 2010-09-13 10:19 | お仕事


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by runa123

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