恋の跡

昨日母と歩いた根津の町は、8年前、私がある人と歩いた町でした。

母にはいえなかったけれど、短い間だったけど、その人と過ごした部屋が、とおりにはありました。あのときより、古くなって、こんなところだったんだ、とおもいながらその部屋を見上げました。

あれから、もう、8年もたったの?

私は長く付き合った同級生と別れてたばかりで、地方の大学の馴れ合いにいらいらしてた。
もう1年もすれば卒業なんだ。なんだか切ないような、あせるような気持ちだった。
そのとき、彼とであった。 
彼は、都心の大学に通う、同い年の男の子。テニス部のエースで、お坊ちゃまで、部屋にはチェロなんかがおいてあって。

今思えば、私は彼のそういう雰囲気を自分のものにすることで、自分の中にある劣等感をぬぐいたかったんだ。彼が私に夢中になるのが、楽しくて、でもどことなく醒めてた。
醒めながら、加速する電車のように、私は熱くなっていってた。

夜中車を飛ばして彼の住む東京へ行き、朝、夜明けとともに首都高をぶっ飛ばして大学の授業に出た。おかげで首都高の運転は上手になったよ。

彼のテニスの試合にはどこへでもついていった。彼の彼女ということが、自慢だった。

でも、夢は長くは続かない。
卒業して彼が都心の病院に勤めて、一月もしないうちに、彼からは電話もメールも来なくなった。

彼も、私と付き合うことで、自分の中にある、何か満たされないものを満たしていたんだ。
彼の中の私の役割が終わって、私たちの恋も終わった。

冷静に考えれば、うそのたくさんあった恋だった。でもところどころに、本当の気持ちもあった。熱くなったあの頃の自分が、切なくて、いとしい、そんな気がする。もう、あんな恋はできない。


あれから8年。私はちゃんと生きてきたんだ。そう思いながら、思い出の町を歩いた。
by runa123 | 2005-05-02 20:45 | About me


女性麻酔科医るなの日々思うことなど・・・


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